側弯症の手術は、背骨の湾曲が50度を超えている重度の人や、腰痛や内臓への影響が大きくなる場合に手術をすすめられる場合があります。
この記事では最新の手術はどうなっているのか?
手術後の痛みや傷跡、手術にかかる時間や入院期間はどれくらいなのか?を紹介します。
最近の側弯症の手術
側弯症の手術は脊椎を固定する手術方法で、背骨の後方矯正と前方矯正の2通りあります。
後方矯正は、脊柱のうしろ側からスクリューやフックを挿入して矯正する方法です。
前方矯正は、脊柱の前側にスクリューを挿入して矯正する方法です。
両方とも脊柱を出来るだけまっすぐにして、同時にねじれをできるだけ減らす手術です。後方矯正の手術は、前方矯正と比べると固定する脊柱の範囲が長くなります。
側弯症の手術後の痛みと手術痕(手術の傷あと)
少し前までの手術後の傷跡は、背骨にそってかなり長い部分の切開だったり、肩甲骨周囲から乳房下前までの肋間を長い部分斜めの切開が必要でした。
けれども脊柱の湾曲がきれいに矯正できても、カラダに大きな手術痕が残るのでは患者さんにはダメージが大きくなります。
手術痕が目立ちにくいように研究された手術方式が、内視鏡をつかって行う前方矯正です。
このときの手術はわきの下の肋骨の間を小さく切開して行います。
以前の術式だと、おおきく切開することで背中の筋膜も大きく切断されて、筋膜が元に戻るのに時間がかかり、その部分がひきつれて動きが悪くなったりしました。
最新の内視鏡を使った前方矯正の術式だと、手術痕がわきの下の2か所ですむので、手術痕は腕を下すとほぼ隠れて目立たなくなります。カラダの後ろから見ると手術痕が完全にみえないようになります。このような手術が開発されたことで、手術後の傷跡の痛みは最小限になってきています。
側弯症の手術をうけたら背骨はまっすぐになる?
側弯症の手術をする場合、背骨を真っ直ぐにして本来の位置に戻してあげるのが理想です。
けれども側弯が始まってから手術を受けるまでの間、背骨の湾曲とともに内臓も自然と位置を変えて順応してきたのです。それを、急に背骨だけが真っ直ぐになってしまうと、内臓にはかなりの負担がかかってしまいます。
これを考慮して、真っ直ぐにはせずにある程度の湾曲の緩和にとどめる場合もあります。
多くの手術では、手術により側弯は25度以下に矯正されます。
また角度が大きい場合は、1度の矯正では矯正しきれない場合、手術を2度にわたって行うケースもあります。
側弯症の手術をするタイミング
思春期をすぎて、骨格の成長が止まって以降に手術を勧められる場合が多いです。
ただ先天性の側弯症の場合は、もっと早くに手術をする場合もあります。
骨格が形成される思春期は、骨も柔軟性があるので手術後の回復が早いといわれますが、手術をした場合、脊柱を金属で固定して矯正するので、上半身の身長が伸びなくなります。
手術を受けるタイミングは、カラダの成長と症状の進み具合をよく見極めることが大切です。
側弯症の手術にかかる時間
多くの手術は4時間から12時間程度かかります。
その側弯の重症度と、固定する脊柱の範囲によりひとりひとり異なります。
最近は内視鏡をつかってカラダにかかる負担をできるだけ軽くする手術方法も研究が進んでいるので、手術の時間も短くなる傾向にあります。
側弯症の手術から回復するまでの期間
患者さんの多くは4-10日間くらいの入院が必要です。
手術後4日目以降に歩くこともできるようになり、ベッドから寝起きができるようになります。
カラダをゆっくり動かすリハビリを始め、退院した後2~4週間会社や学校を休み、2-6カ月で通常の生活に復帰します。
手術の後、約4~6カ月で軽めのランニングや適度のエクササイズをはじめるとよいでしょう。
背中が通常と変わりないと感じ始めるのに、多くの人達は1年程度かかると考えられます。
側弯症の手術、その痛みや経過についてまとめ
側弯症で手術をすすめられた場合、やはり大きな決断をすることになります。
その手術の方法や手術後の経過をしっかりわかりやすく説明してくれる病院を選び、自分で納得をしてから手術に臨みましょう。
回復までのかかる時間や、リハビリなど、どんなことを今後していくのかも確信してから手術に臨みましょう。
もし納得いかない場合は、セカンドオピニオンとして主治医以外の医師の意見を聞くこともできます。
「セカントオピニオン外来」もある病院もあるので、より良い方法や第三者の意見をききたい場合は相談に行きましょう。
手術に対しての不安や心配はみんな持っています。
遠慮しないで相談してみるといいですよ。