側弯症(脊柱側弯症)は治らないといわれていますが、適切な治療をすることで改善できます。
背骨がまがるとカラダが歪んで姿勢が悪くなるので、腰痛や肩こりなどの原因にもなり、カラダのあちこちに不具合がでてきます。
子どもや女性に多い側弯症の症状と原因について紹介します。
側弯症ってなに?
脊柱側弯症は、背骨がねじれをともなって湾曲してしまう病気で、大人よりも成長期の子供、特に女子に多くみられます。
正常な脊柱は、上のイラストのように横から見るとゆるやかなS字にカーブで、背中から見るとまっすぐ伸びていますが、脊柱側弯症は脊柱が横に曲がってゆがんでいる状態です。
脊柱側弯症の背骨の状態
側弯症の種類
おおきくわけると側弯症は2つの種類があり、非構築性側弯(ひこうちくせいそくわん)と構築性側弯(こうちくせいそくわん) に分かれます。
非構築性側弯(ひこうちくせいそくわん)
脊柱自体に問題はなく、左右の足の長さの差や、骨盤の傾き、脊柱に痛みなどの外部的な要因によって、一時的な側弯症が引き起こされている状態です。
ねじれを伴わない側弯症なので、足の長さを補正したり痛みを取り除いたり、側弯を引き起こしている原因を取り除けば改善することができます。
構築性側弯(こうちくせいそくわん)
脊柱自体が側方へわん曲している状態で、多くの場合ねじれも伴っています。
構築性側弯は脳性麻痺、ポリオ、二分脊椎、筋ジストロフィーなどが原因とされる症候性側弯症(しょうこうせいそくわんしょう)と、原因のわかっていない特発性側弯症(とくはつせいそくわんしょう)に分けることが出来ます。
特発性側弯症の原因は不明です
特発性側弯症は女子に多いことから、ホルモンの関係とか、骨格や筋力に原因があるといわれます。
けれど現状では原因はわかっていません。
痛みなどの自覚症状を感じにくい病気で、短期間でどんどん進行してしまうので、気づいたときにはかなり重症化していることが多いのです。
低年齢で発症した場合ほど重度の側弯になる傾向があり、骨の成長がとまる17~18歳ごろまで進行します。
その後20歳~30歳代は比較的安定するものの、骨や筋肉が衰えが始まる40歳を過ぎると再び進行が始まります。
全体の8割が特発性側弯症
側弯症といわれる80%前後を占めているのが特発性側弯症です。
思春期の児童に多く、男女比では圧倒的に女子に多く見られるものです。
- 乳児期側弯症-3歳になる前に発症して治療しなくても自然に治るケースが多い。男子に多い。
- 学童期側弯症-4~9歳で発症する。 約60%は治療しないと進行する。
- 思春期側弯症-10歳以降に発症する。圧倒的に女子に多い。
- 変性側弯症(老人性側弯症)――加齢によるもの
に分けられます。
脊柱側弯症の痛み
脊柱側弯症は、幼少期から10代にかけての成長期は痛みなどの自覚症状を感じることが少ないのですが、それ以降になると慢性的な肩こりや腰痛、背中が痛くなるなどのはっきりとした症状がではじめて、40代以降の年代になってくると、症状は深刻になる場合があります。
成長期では筋肉で支えていた骨格は、加齢により筋肉が衰え始めると、背骨が湾曲することで腰部の神経が圧迫されて歩けなくなったり、肺を圧迫して呼吸障害が起こったりします。
もっと高齢になってくると、骨密度が減り、側湾も進行した場合、圧迫骨折を起こす危険性があります。
脊柱側弯症は若いときだけの病気ではないということを知ってほしいのです。
側弯症のカラダへの影響
脊柱が曲がりねじれてしまうと、カラダのいろいろな部分におおきな負担がかかってきます。
背骨がゆがむことで骨格や筋肉のバランスが崩れて、腰痛や、肩こり、背中に痛みがでたり、背骨をとおる神経にも影響がでてくることで、内臓にもいろいろな症状がおきてきます。
胃下垂・逆流性食道炎・生理痛・腹痛などがおきたり、胸骨や肋骨が変形して肺を圧迫して呼吸器疾患や心肺機能の低下することもあります。
背骨が曲がってしまうことで、慢性的にいつも疲れているカラダになってしまいます。
側弯症は女性の場合は、出産のときに大きな負荷がかかるので、子供を産めないと診断されることも少なくありません。
自律神経も乱れるので、具体的な症状のほかに、倦怠感がある、落ち着きがない、集中力がない、運動が苦手などという形で出ることもあります。
思春期には特にカラダがゆがんでいることによるコンプレックスを感じることも多く、不安やストレスで心身ともに調子が悪くなってしまう場合もあります。
カラダの不調が心におおきく影響する時期でもありますね。
側弯症はみつかりにくい
側弯症は成長期に進行がとても早いので発見しにいといわれますが、今では小、中学校で年に1回の脊柱健診が実施されています。
けれど、学校の脊柱健診で見つかる側弯症は1%程度といわれています。
短期間に症状が進むのでの、自覚症状がないこともあり、親も気がつかすに見過ごしてしまうこともあります。
姿勢が悪かったり、着ている服がゆがんで見えたり、イライラが続いたりなど、小さな変化を見逃さないように家庭でも注意を払ってあげる必要があるといえますね。
背中を触って気になったら、早めの受診を心がけましょう♪